『もしドラえもんのひみつ道具が実現したら…タケコプターで読み解く経済入門』レビュー

日本人なら知らない人はいないほど

ドラえもんはみんなに知られ親しまれ

夢を見ることを教えてくれた存在です

 

しかし成長するにつれていつの間にか

それは思い出として心の奥底にしまい込まれて

現実とは切り離されてしまっていることでしょう

 

この本ではそんな懐かしいドラえもんの道具が

現在の世界に実在したとすれば

私達の生活にどんな変化をあたえ

社会や経済にどんな影響をあたえるのかを

現役ファンドマネージャーでありアナリストでもある

著者の藤野英人が楽しく真剣に考察しています

 

 

 

もしあったらとして登場する道具は

タケコプター

ガールフレンドカタログメーカー

フエール銀行

暗記パン

カラオケメイツ

翻訳こんにゃく

お医者さんカバン

ガリバートンネル

カッカホカホカ

どこでもドア

などがあります

  

これらの道具が商品として流通する予想価格から始まって

売り上げ、市場規模、関連業界の動向などについて

どんな会社が関わってくるか予想したり

さらには発生し得る社会的問題点や法整備などにも触れ

本当に実在するかのように書かれています

 

 

 

タケコプター】の場合なら

タケコプター通勤、タケコプター教習所、

タケコプター保険、タケコプター対応ヒートテック

空飛ぶセコム、空飛ぶALSOK、

バイク便ならぬタケコプター便などが活躍する近未来図を描いています

 

【フエール銀行】では

スーパーインフレによる経済システム崩壊を予測し

経済のグローバル化や金融の果たす役割などを解説しています

 

【暗記パン】では

受験や資格試験での需要とそれに対応するドーピング検査

さらにそこから教育産業と教育システムの変革を予測しています

 

【カラオケメイツ】では

近年の娯楽が時間消費型へ変化していることから始まり

単身社会や核家族化による無縁社会の解消まで想像を広げています

 

ガリバートンネルでは

食料不足の解消、エネルギー問題の解消、各家庭の玄関に設置、

ミクロ消費によるデフレ経済とエコ社会化から

コンパクトシティ構想実現までを描いています

 

【どこでもドア】では

暮らしのミニマム化、低炭素社会の実現、エリア共有概念消失、

フラット化(同一言語・同一通貨・同一税率)する世界を予測しています

 

他にも東大生協で人気商品となった

石川県の金沢製粉が製造する

ビタミンB1配合頭脳パン

2010年にローソンで期間限定発売された

まるで暗記パンの紹介など

現代で実在する類似商品なども紹介されています

 

 

 

内容に反して文章はとても読みやすく

イノベーション(技術革新)

リーディングラボ(読書会)

複利効果

デフレスパイラル

ガラパゴス化

ユニバーサルデザイン

コスメディカル(美容医療)

医療ツーリズム

統合医療

環境3R(Reduce/Reuse/Recycle)

サステナビリティ(持続可能な社会)

コンパクトシティ構想

スマートグリッド(次世代送電網)

ESG(Ecology/social/governance)

ダイバーシティ(多様性)

裁定(アービトラージ)

公益セクター

フラット化

などの耳慣れない言葉もわかりやすく説明されており

経済入門としてはもちろん

自由な想像や発想を思い出すにも最適で

童心を成長させて大人の階段を登れる一冊です